池本梨華
（劇団木霊）

主な活動

• 劇団木霊『deuil』　出演
• 劇団木霊『東京』　出演
• 蛛式OZculum
  『LOVE,ANDROGYNOUS!』　モデル

私の音

「百聞は一見にしかず」なんて言うけれど、目でつぶって手で覆えば、光は簡単に遮断できてしまう。でもどんなに手で指できつく耳を塞いでも、音は遠く微かに聞こえてしまう。
眠れない夜に時計のカチコチという秒針の音がうるさくて、電池を抜いたことがあります。かと思えば深い眠りに落ちて、アラームの音が聞こえず寝坊したこともあります。
思い通りにならない、この両耳が、音が恨めしい。
それなのに、心地よい音というものにどうしようもなく救われることがある。
私にとって音とは、切なく胸をしめつけるものなのです。

南舘優雄斗
（劇団木霊）

主な活動

• 劇団木霊『東京』　出演
• 靴と観覧車『縫製少女～Sweet & Lovely World～』　出演
• 劇団子供鉅人『重力の光』　出演

私の音

口ずさむ曲。
「主よ、人の望みの喜びよ」「遠き山に日は落ちて」「椰子の実」「荒城の月」
「Norwegian Wood」「It's only a Paper moon」
私の音を確かめるために。
私のチューニングをするために。
私のAの音たち。
オーボエがまず始める、フルートが、クラリネットにファゴット、弦が加わり、金管が入り。
そして厳かに指揮台に立つ私。
タクトを振り上げて。
始まる。

臼杵遥志
（劇団木霊）

主な活動

• 劇団木霊『曾根崎心中』『東京』
  【 HAMLET be 】　作・潤色・演出
• Limited Odd Fish [KAYUHIRO]
  『イビサ』　出演
• くらやみダンス『藪にらみ革命記』　出演

私の音

知らない町に行く時は、イヤホンを外す。初めて降りる駅のホーム、初めて渡る横断歩道、初めて食べる汚ぇ中華料理屋のビックリするほど美味しいチャーハン。だけど、この町、私の町では世界を締め出すために耳を塞ぐ。隙間を埋めるように、音楽に身体を委ねよう。それでも私の意識には聞こえないはずの声が聞こえていて。やはり余白は生まれていて。時折、怖くなるのです。

岡本セキユ
（くらやみダンス）

主な活動

• くらやみダンス　全公演　脚本・演出
• Nichecraft『架空の箱庭療法#3』　
  モデル・出演
• (劇)ヤリナゲ
  『緑茶すずしい太郎の冒険』　出演

私の音

眠りから覚めるちょっと前、まだ夢の中に片足残してウトウトしているあの宙ぶらりんな時間に周りから聞こえてくる音が好きです。好き、というか、たまらなく心地よいというか。
ひとり暮らしを始めるまでは、それは大抵、朝から騒がしい家族の声でした。朝食をつくりながら大声で話す両親の関西弁が、いまでも耳にこびりついています。
三年前に上京してからはひとりで朝をむかえるようになりました。田舎の地元では窓の外からスズメかカラスの鳴き声が聞こえましたが、こちらでは部屋のすぐ前を走る丸の内線が目覚ましです。
夢とうつつの境目を行ったり来たりしている中、すでに街や人が動き始めていると知る瞬間の耳にスルリと入り込んでくる電車の音で、また一日が始まるんだなあと、ゆっくりベッドから起き上がるのです。

堀紗織
（くらやみダンス）

主な活動

• 果てとチーク『害悪』　出演
• くらやみダンス
  『さよなら自転車泥棒』　出演
• くらやみダンス『藪にらみ革命記』　出演

私の音

音、といえば思い出すことがありまして、
東京へ来る前、まだ実家に住んでいたころ、わたしの部屋で休日に目覚めると、早起きの母が窓を開けてくれてあるんです。大きい窓なので、外の音が良く聞こえるのですが、平日の早朝にはあまり聞こえない、シュウン、シュウン、という、乾いた短い音がずっと聞こえるんですね。幼い頃からずっと聞いているのに、本当に何の音だかわからなくて、でもわたしはそれを休日の、特に日射しがまぶしい晴れの日の、ぼんやりした目覚めの音だと思っていました。
中学へ入ったころ、ついにその音の正体を突きとめました。なんと、それは「家の近くの大きい道路を走る車のタイヤの音」だったのです。今でもなんとなくその正体を突きとめた朝を覚えていて、儚いゆめの終わりを表わす音が、そんなタイヤのゴムがアスファルトの上を走る音だったなんて…と、冷めたような、物悲しいような心持ちになったのです。
大学に入り上京して、だんだんと実家から足が遠のき、今日も都会の喧騒にタイヤの音も紛れてしまう東京でこれを書いていますが、うららかな春の日に、もう一度あの目覚めを、なんて、思ってしまうものですね。

藏下右京

主な活動

• 北川企画
  『午前五時、立岩展望台にて』　出演
• 劇団ひ座 『虚構性廃棄物最終処分点（走る）』　出演
• 藏下右京×渕上夏帆 二人芝居
  『オーディション/部屋』　企画・出演

私の音

「ひえー」「ぴー」といった、一見するとよくわからない言葉が好きです。
意味が脱落しているというのもありますが、なにか平和な響きがしてきます。
こういう言葉で会話できたら、世界はもっと平和になるんだろうなあ・・・

小久保悠人

主な活動

• 松田真子『シックスウーマン』　出演
• 立教大学映像身体学科・松田正隆ゼミ『群盲』　出演
• 立教大学映像身体学科・松田正隆ゼミ『おりき/大つごもり/十三夜』　出演

私の音

メトロノームの音を、たまに聞きます。スマホのアプリをダウンロードして。学校への行き道、授業中、お風呂に入ってる時、いつでもどこでも。
こないだ、夜中にコンビニに行きたくなって、外に出るときも聞きました。夜中ということもあったのですが、とても怖くなりました。いつも通っている道が、いつも通っている道に見えなくなりました。
目の前のものが、目の前のものに見えなくなることがあります。音やリズムも、そのスイッチになり得るもので、演劇の本質に関わることなんじゃないかなぁと、思ってます。

福士輝
（劇団木霊）

主な活動

• 劇団木霊『生姜女の産声』　出演
• 劇団木霊『deuil』　出演
• 劇団木霊『曾根崎心中』　出演

私の音

音っていうか聴覚の話ですけどね、耳って余計な音まで拾いすぎじゃないかって思うんですよ。視覚は目蓋を閉じればシャットアウトできますけど耳には耳蓋なんて無い。手で塞いでも漏れた音や体内の音がやたら聞こえてくる。
聞こうとしていないのに聞こえてくる
姿の見えない会話や物音、終いには実際には鳴ってない音まで聞こえたりして何かと心動かされてしまう。
そんなままならない聴覚が面倒臭くてとても面白いなと思うんです。
余白の音ってのはどんな風に聞こえるんでしょうね。

津田颯哉
（実験劇場）

主な活動

• 第27班『平成舞姫』　出演
• どろんこのキキ『飴の降る街』　出演
• くらやみダンス『藪にらみ革命記』　出演

私の音

多分僕だけじゃないはずなんだけど、自分で出す分には許せて、他人が出すと気になる音、というのが結構あるなと最近思う。隣の席で何かを書く人が出す、ペンが机に当たる音。鼻をかむ音。電車の中、傘で床を打つ音。とかとか。自己認識の問題なのか、それとも予期しているかの問題なのか。自他認識ができない動物は、自分が出す音にも驚くのかな、とか思ったけど、考えたらたてた音が予想外に大きくて驚くこともあるよね。自分の声帯から驚くくらいいろんな音が出せたら良いな。
昔、演出家さんが「ここ小型の変声機とか使いたいんだよね」って言ったら、言われてた役者さんが「多分できますよ」って言って本当に機械無しでそのまま板に載せたのを見たことがあるんだけど、そういうのに憧れるのよね。今年はそういうのを頑張ろうとおもう。

河村杏里

主な活動

• 札幌ハムプロジェクト☆東京支部企画『B計画～ビー・プラン、彼の住む星～』　出演
• 演劇企画ここだけの話『夢なんて見ない』　出演
• 劇団盲点ガロン『薬莢拾い』　出演

私の音

料理の音が結構好きです。煮込んでる音とか、揚げ物の音とか。コトコトとか、グツグツとか、そういう音が大好きです。他には、水の音が好きです。波が寄せて返す時の、返す方の音が好き。洗濯機の音に少し似ています。言葉で表すとどんな感じだろう。コポコポとシャワシャワの間みたいな…。手で水をかいた時の音ですね。伝われ～～。あの音をずっと聞いていると、とてもゆったりした気持ちになります。だから、洗濯機を回しつつ、煮込み料理を作れば最高なんじゃないかなあ…。

國府田稔

主な活動

• 弥生学生演劇祭『THE・ぶれいぶ』　出演
• 空間創作人ぶんちょう『起きない沖田君と夢見の羊』　出演
• 劇団木霊『ユリイカ・ユリイカ』　出演

私の音

私はふっと気づいた瞬間に何の音もしない瞬間が好きです。
そこで聞こえてくる、雨の降る音であったり、近所の子供の遊ぶ声であったり、自然な音？が聞こえてくるともっといいです。自分だけの空間に気持ちよく入り込んでくるといいますか、こちらの想像力を掻き立てられるといいますか。そんな言葉にできない、何気ないけど胸の内に何か想わせることのできる音が好きです。